ジャケ最高
メガデスの『ユースアネイジア』。
以前取り上げた、このアルバムの前作にあたる『破滅へのカウントダウン』にヒケをとらない名作です。
世の中で一番カッコイイ音楽、スラッシュメタルを『極めた男』、デイヴ・ムステイン。
ここではスピードを落とし、
スラッシュ一辺倒じゃないぜ、
一筋縄ではいかないぜ、
ヒネリのあるヘヴィネスだぜ、
と新しい表現にこだわっているのが良くわかります。
そこにあるのはストレートではないけれど複雑過ぎない曲展開。
『作らない幼稚さ』と『作り込み過ぎた自己満足』
とのちょうど境目。言うなれば
『ジャストさ』
が心地よいのです。
そこにマーティ・フリードマンの際どい旋律が良くハマり、
『幸せな地獄』
のような雰囲気を醸し出しています。
これは『演歌』や『歌謡曲』に通じたマーティでなければ出せない雰囲気で、その微妙にコントロールされた『ジャストさ』は日本人流の『ワビ・サビ』のレベルです。
コレはホントにスゴいです。
なんかマーティって評価が低い気がするんだよなぁ。
『ヘビメタさん』とかテレビ出すぎだからかなあ。
素晴らしいミュージシャンだと思うんだけどなあ。
まあいいや。
そしてデイヴ・エレフソンのシンプルだけど存在感のあるベース、ニック・メンツァの『太くて早くて落ち着いていてタイト』なドラムは相変わらず。
非常に安定度の高いバンドですね。
アルバムを通して完成度が高く、良質のヘヴィメタルを量産しています。
中でも
『ア・トゥール・モンド』
『ファミリー・ツリー』
あたりがハイライト。
美しさも兼ね備えた
『幸せな地獄』ですよ。
・・・・・・平和な世界。
そこに突然やってきた、世界で一番偉い人。
その人が言いました。
『好きなバンドを1つに絞りなさい』
この命令に、どれだけの人が悩むことでしょう。
少なくとも私は、まず答えられません。
しかしこの質問が、
『好きなアルバムジャケットを1つに絞りなさい』
だったら、即答できます。
ソレがこのアルバム、『ユースアネイジア』です。
暗雲たちこめる、永遠に続くかのような広大な草原で、
『赤ん坊を干す』。
こんなに反社会的でサタニックな発想ながら、干されている赤ん坊が笑顔でやたら可愛くて、つまり
『面白い』。
この最高にインパクトのあるジャケットも合わせてお楽しみ下さい。